醤油(しょうゆ)とは、主に大豆と小麦と塩を原料とし、醸造・発酵により作られる液体調味料で、日本のソウルフードとも言える、日本料理の文化に根付いた調味料です。

醤油の「」は、「食品の塩漬け」という意味を持つそうで、日本における現在の醤油の原型は、味噌の製造工程で出来る上澄み液(たまり)を汲み上げた「たまり醤油」だと言われています。

傳右衛門がんこたまり
たまり醤油「傳右衛門がんこたまり」

醤油のは大きく分けると5種類

醤油は、JAS規格(日本農林規格)によって、大きく分けて5種類に分類されます。

  • しろしょうゆ(白醤油)
  • うすくち(淡口醤油)
  • こいくち(濃口醤油)
  • 再仕込み(さいしこみ)
  • 溜(たまり)
醤油の種類別出荷量グラフ (2018年)

この大きく分けた5種類を日本の醤油の出荷量で見てみると、84%を占めるのが濃口醤油です。たまり醤油、再仕込醤油、白醤油はあわせても4%程度、関西で多く使われてるうすくち醤油(淡口醤油)を足しても16%に留まります。このことから解るように、醤油といえば「濃口醤油」のイメージが定着しているのは、仕方のないことかもしれません。

ちなみに比較として、似たようなシェア率のものを探すと、2019年12月調べの日本全国民におけるスマホの所有率が85.1%だったそうなので、率としては濃口醤油もこれと同じような比率ですね。このことから、いかに多くの濃口醤油が出荷されているのかが解る気がします。

しょうゆ加工品って何?

さてこの他に、普段お店などで見かける「○○しょうゆ」「○○醤油」と表示してあるものの中でも、醤油をベースにかつおだしや昆布だしなどをブレンドして作られる液体調味料は、

  • しょうゆ加工品(醤油加工品)

と品名に記されています。これはJAS規格によって醤油の原料として使用出来るものが決まっているために、それ以外のものを原料として使用した際には、上の5分類の醤油を名乗ってはいけないためです。

醤油は、基より旨味成分のグルタミン酸の多い食品なのですが、このグルタミン酸が動物系の旨味であるイノシン酸や、きのこ類系の旨味であるのグアニル酸などの核酸系の旨味物質と合わさると、相乗効果により飛躍的に旨味が多くなると言われています。
なので、日本人が古来より醤油に動物性の出汁や乾燥きのこの汁を加えることは必然性があったのかもしれませんね。

しょうゆ加工品は広義的に、「めん類等用つゆ」や「たれ類」も含みますが、主に品名にしょうゆ加工品と表示されるものは、しょうゆを主原料とした液体調味料で「○○しょうゆ」などの商品名のもの指します。この他に、醤油に果汁や酢を入れた、いわゆる「ポン酢」や、などもこのしょうゆ加工品の分類に所属します。

甘口醤油と旨口醤油

日本の各地には、その土地に根付いた醤油が存在します。中でも九州、四国西部、瀬戸内の一部、北陸などや一部の沿岸部は、比較的甘くて旨味の多い醤油が好まれています。

これらは、一般的に、

  • あまくち(甘口醤油)

なんてまとめて呼ばれていますが、厳密にいうとこの中には、うまくち(旨口)醤油と呼ばれるものが含まれている場合もあります。

  • あまくち … 甘草、ステビア、サッカリンなどの甘味料や糖類などを足したもの
  • うまくち … グルタミン酸(アミノ酸)、イノシン酸(核酸)など旨味を足したもの

このように大きく分けた5分類以外でも様々な呼ばれ方をする醤油が存在します。

いろいろな醤油の種類

濃口醤油の醸造方法は3種類

これらいろいろな種類がある醤油ですが、その中でも一番多く消費されている濃口醤油は、醸造方法で以下の通りの3種類に分類のすることができます。

  • 本醸造方式 … 伝統的な醤油の製造方法です。大豆と小麦を使用した麹を食塩水と合わせ、もろみを造ります。撹拌しながら約6ヶ月〜1年ほど発酵熟成を行います。
  • 混合醸造方式 … 本醸造方式の諸味にアミノ酸液や発酵を促す液体を加え発酵熟成を行います。発酵期間は本醸造より短い期間になります。
  • 混合方式 … 本醸造方式で作られた醤油にアミノ酸液や、調味液を加えたものを呼びます。

濃口醤油の醸造方法の紹介をしましたが、九州で作られる淡口醤油や再仕込み醤油などでも混合方式を用いた製法を行っている商品を見ることができます。

サクラカネヨ うすくち 上淡
うすくちしょうゆ(混合) 「サクラカネヨ うすくち 上淡」

生醤油?なま醤油?生揚げ醤油?

上で書いた他にも、大豆・小麦・食塩のみを原料としてつくられたもので加熱処理などでを乳酸菌や酵母菌を不活性化させた醤油指す、「生醤油(きじょうゆ)」、もろみから絞り出した後、加熱殺菌を行わず、マイクロフィルターで乳酸菌や酵母菌を濾過することで菌を取り除いた「生(なま)醤油」、醤油蔵などで販売されている、火入れも濾過もされていない「生揚げ醤油(きあげしょうゆ)」と呼ばれる乳酸菌や酵母菌が生きている種類のものがあります。

ひしほ醤油
生(なま)醤油 「ひしほ醤油」

生(なま)醤油は、マイクロフィルターで乳酸菌や酵母菌を濾過することで菌を取り除いており、火入れによる滅菌作業をしないため香ばしさや味に違いがあります。生(なま)醤油のほうが概ね味も香りも優しい味わいで色も透明感があり、フレッシュな味わいになります。

しぼりたて生しょうゆ
生揚げ醤油 「しぼりたて生しょうゆ」

生揚げ醤油は、火入れも濾過もされていないため、乳酸菌や酵母菌がそのまま生きており、瓶で密封してしまうと発酵が進んでガスが溜まってしまい、キャップが飛んだり瓶を割ってしまうために、ほとんど流通されていないという代物です。しかしながら、乳酸菌や酵母菌が生きているこの生揚げ醤油は複雑な味わいが特徴の醤油はレア商品ですので見かけたら購入してみると良いかもしれませんね。